超高齢社会となったわが国において、次なる課題は健康寿命の延伸です。平均寿命世界一を誇るわが国女性が心身ともに充実した生を全うするためには、若年期・中年期から健康の維持に努めることが重要です。中でも「食」は運動と共に生活習慣を構成する最大の因子であり、一生を通じて健康に大きな影響を与えます。東京科学大学病院(旧 東京医科歯科大学病院)周産・女性診療科ではこのような観点から、医師による診療と管理栄養士による健康・栄養教育とを組み合わせて行う「系統的健康栄養教育プログラム」を通して、多数の女性の健康維持に関わってきました。
このような我々の取り組みに共感されたキッコーマン株式会社のご厚意により、2012年4月に東京科学大学(旧 東京医科歯科大学)大学院医歯学総合研究科に「『食』による女性の健康維持」を中心的課題とする寄附講座「女性健康医学講座」が設立され、様々な領域における女性の身体的・精神的機能の加齢による変化と、食品・薬品およびそれらに含まれる生理活性物質がこれに対して与える影響についての研究を行ってきました。
このたび東京科学大学(旧 東京医科歯科大学)大学院医歯学総合研究科女性健康医学講座は茨城県および茨城県厚生農業協同組合連合会のご支援を受け、2020年4月に「茨城県地域産科婦人科学講座」として新たなスタートを切りました。今後も産科婦人科学および女性医学分野における研究を推進し、多くの情報を発信していきたいと考えています。